チームEEEについて
チームEEEは、
考えよう!「エネルギーを使うこと、環境を守ること」
と題して、放射線の基礎知識の理解と高レベル放射性廃棄物処分問題の教育実践(エネルギー環境教育出前授業)をしています。基礎知識を楽しく学び、実験で確認し、ディスカッションでたくさん考え、それらをまとめて発表をする事で、深い理解を促します。小学校、中学校では理科の時間や総合的学習の時間を利用します。
「ちょっと知ってたくさん考えよう!」
それが私たちチームEEEのエネルギー環境教育の考え方です。
チームEEEは、エネルギー環境教育実践の重要性を考える有志で結成したチームです。主なメンバーは、大学の先生、専門の研究者、現役の小学校の先生、サイエンスコミュニケーターです。エネルギー環境教育を軸として、放射線の基礎知識と高レベル放射性廃棄物の地層処分に対する知識を、座学や実験・体験だけでなく、批判的思考や能動的学習/アクティブラーニングを用いた授業を行っています。
学んでほしいトピックをクイズに仕立てた座学は、子供たちを授業の内容に集中させ、正解を得るために「何だった?」「どうしてだろう?」と、積極的に考えさせます。授業中の体験や実験は、まるで遊びのように好奇心を掻き立てます。ディスカッションの方法として、新しく開発された幸式ワールドカフェ(みゆカフェ)を用いた学習は、子ども達のエネルギー利用と環境影響や放射線に対する考え及び高レベル放射性廃棄物処分方法に対する考えを広げ深めます。
チームEEEの活動目的の一つは、エネルギー環境教育を主軸として、放射線基礎知識の普及に努め、様々なエネルギーについて一緒に批判的に考えることです。化石エネルギー、再生エネルギー、原子力エネルギーを使った発電に関する理解を深め、原子力発電によって生み出される高レベル放射性廃棄物の地層処分に対する知識の普及を行うことです。「知識の普及」とか「理解を深める」とは、その事業の実施に賛成をさせる事ではありません。
それぞれのエネルギーがどういったものか、利点も欠点も含めてその内容がわかることです。
教育機関においては、出前授業により、エネルギー環境教育を主軸として
- 放射線やエネルギー、地層処分等について子供たちに教えること
- 放射線やエネルギー、地層処分等について先生方にも学んでいただくこと
- 授業や「みゆカフェ」の方法について先生方に知っていただくこと
の3項目同時進行を実現させることも活動の目的の一つとしています。
なぜ「エネルギー環境教育を主軸にした、放射線の基礎知識の理解と高レベル放射性廃棄物処分問題の教育実践」が重要なのでしょうか。
2011年3月に東日本大震災を起因とした福島第一原子力発電所事故(原発事故)により、放射性物質の環境中への放出や食物への影響など、日本社会において急激に放射線についての関心が深まりました。
原発事故を起因とする不安や、放射性廃棄物処分問題など、私たちの多くは「放射線≒放射能≒原発≒原爆≒危険=怖い!」と感じていて、私たちは放射線に対して不安に思っていると考えられています。結果、原発事故後、日本の発電に使うエネルギーの構成比は大きく変化しました。2010年、原子力と火力の構成比はそれぞれ29%、62%を占めたのですが、2014年には全ての原発の稼働が停止、原子力発電による発電は0%となり、温室効果ガスの主要成分である「二酸化炭素」の排出量が最も多い火力発電が、構成比の93%に達したのです。2018年度の電源別発受電電力量は火力がおよそ80%で残りの20%を原子力と水力と新エネが賄っています。
原子力発電の占める割合が少なくなったからといって、高レベル放射性廃棄物処分問題を後回しにして良いわけではありません。なぜなら、原子力発電を使い始めてから現在(2019年3月末時点)までの間に蓄積された高レベル放射性廃棄物は、ガラス固化体に換算するとすでに25,000本相当になります。今後も原子力発電所の稼働状況に応じて増加します。私たちはエネルギーを使いながら環境も守っていかねばなりません。
では、エネルギーと環境や、放射線や、高レベル放射性廃棄物処分などの問題はどうやって教えたらよいのでしょう。現場の先生方の多くは、これらの課題について自分たちが子供の時に小学校や中学校で学んでいません。また、専門的知識を含むため、勤務時間内外で新たに学ぶということも簡単ではありません。いったい、どんな内容を、どのくらいの深度まで、どのように教えたらよいのでしょう。
私は、2010年より継続して、みゆカフェと能動型学習法を取り入れたエネルギー環境教育を軸とした放射線と放射性廃棄物処分問題の出前授業を実施しています。 出前授業は、児童・生徒が学ぶに留まらず、参観・参加してくださった先生方から「授業が楽しくわかりやすく、自分たちも勉強できた。」みゆカフェについては「他の授業でも取り入れたい。」とコメントを頂きました。
授業設計はアクティブラーニングを重視しています。社会人を含む全学年共通の学習目標は
- 私たちは生活をしていく上でエネルギーを消費している事
- どのようなエネルギーを使うとどのように環境に影響を及ぼし、私たちの生活に影響を及ぼすか知る事
- 放射線について正しく理解する事
- 高レベル放射性廃棄物の地層処分について正しく理解する事
- 処分方法について深く考え、将来のエネルギーについて考える事
授業方法は、習得すべき要点をクイズに仕立てた能動型の座学と、活動して学ぶ実験や体験、対話型・能動型の「幸式ワールドカフェ(みゆカフェ)」を取り入れて行います。みゆカフェは私が開発したディスカッションの方法です。容易に実践が可能で応用性が高く、指導者が単に知識を与えるのではなく、学習者がそれぞれのペースやレベルでそれぞれの考えを広げ深めることが確認されています。
この活動を通して、将来の大人たちが、どのようなエネルギーを使うとどのように環境に影響を及ぼし、私たちの生活に影響を及ぼすか理解し、どのエネルギーをどのくらいの割合でどう使うのか、地層処分を含めて、様々な発電のゴミ問題を考え、正しい知識と理解のもとに、エネルギーの意思決定ができるようになることを心から望んでいます。